これから家づくりをしようと考えている方に、ぜひともオススメしたいのが無垢材の床です。
今回は一般的な床材と無垢の床材の違いや、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介していきたいと思います。
床材は直接触れる機会が多い部分です。
特に床の近くで過ごしている赤ちゃんや小さい子どもほど、床材の影響を受けやすい傾向にあります。
アトピーや喘息も床材の影響の一つです。
床材は、普段の暮らしや家族の健康に直結する問題ですので、家を建てる前に必ず知っておいてください。
一般的な床材について
いきなり「無垢の床材」と言われても、よくわからないという方が多いと思います。
まずは一般的な床材から解説していきたいと思います。
普通の床材って何?
床材と聞いて多くの方がイメージするのは、「合板(ごうはん)フローリング材」だと思います。
複層フローリングとも呼ばれたり、一般的に普及していることから単純に「フローリング」と呼ばれていることが多いようです。
下の写真のような床材です。
合板フローリングの柄や色は様々なので、この画像とは異なるタイプかもしれませんが、きっとあなたも触れたことがあるはずです。
ほとんどのアパートで合板フローリングが使われているので、あなたが暮らしているアパートでも使われているのではないでしょうか。
現在最も一般的に普及しているのが、この合板フローリング材です。
ハウスメーカーや工務店で特に説明がなければ、この合板フローリングが使われていると考えて問題ないでしょう。
合板フローリングは1枚板ではない
合板フローリング材の構造について簡単にご説明します。
厚みは1.2㎝のタイプが主流です。
ですが、1.2㎝の厚みの木で出来ているわけではなく、数ミリの厚さの木を何枚も重ねて接着して作られています。
合板フローリングは木ではない!?
合板フローリング材も様々な木目のタイプがあります。
樹種や色も多種多様です。
床材の表面のキレイな木目ですが、実はほとんどが本物の木目ではないのです。
印刷された木目柄を合板に貼り付けているのです。
印刷面はコーティング済みで直接触れることができないので、印刷だとは思っていない方が多いかもしれません。
中には合板に本物の木の木目を貼り付けているタイプもあります。
工務店によってはこのタイプも「無垢材」に含めてしまうケースもありますのでご注意ください。
本物の木目であっても、薄い板を貼り合わせていれば、本来は合板フローリングと分類されます。
合板フローリングのメリット
合板フローリングが普及しているのには訳があります。
下記のようなメリットがあるからです。
◆低価格
木を薄くスライスした板からつくるため、立派な木でなくとも材料が取りやすく、無垢の床材と比較すると製造コストが安いのが特徴です。
◆施工が簡単
合板フローリングは30㎝×180㎝程度のサイズのパネルになっており、少ない枚数で広い面積を貼ることができるので、無垢の床材と比べると短期間で施工可能です。
◆硬く傷やシミがつきにくい
表面が硬くコーティングされているため、日常生活で傷がつくことはあまりありません。
水などをこぼしてもシミになることはほとんどありません。
コーティングのおかげで新築のままの状態を長く保つことができます。
合板フローリングのデメリット
◆接着剤の経年劣化
接着剤の力が最も強いのは貼り付けた直後です。
そこから徐々に劣化が始まり、20年程度経過すると部分的に剥離が発生する場合があります。
ご実家に帰省した際に、廊下の床がブヨブヨになっている…という経験はありませんか?それが接着剤の剥離の影響です。
特に湿気のたまりやすい場所では接着材の劣化が進行します。
◆傷が付くと目立つ
先ほどメリットで挙げた、表面が硬くコーティングされているので傷がつきにくいというのは本当です。
しかし、全く傷がつかないという訳ではありません。
重い物や硬い物を落としたりすれば、傷が付くこともあります。
一度コーティングが剥がれてしまえば、その下は印刷の木目や数ミリの薄い板です。
だんだんと傷が広がり、下の層が見えてしまうとどうしても目立ってしまします。
◆ カビやダニが発生しやすい
表面をコーティングしているため、水分を吸収しないというメリットはあるのですが、その分コーティングの表面に湿気が溜まりやすくなります。
湿気が溜まった場所にホコリが加わるとカビやダニが発生します。
テレビや冷蔵庫の裏などホコリの溜まる部分の掃除はこまめにした方が良いでしょう。
ダニやホコリは「ハウスダスト」と呼ばれ、子どものアトピーや喘息の原因と言われていますので注意が必要です。
無垢の床材について
続いて、無垢の床材についてご解説していきます。
無垢の床材とは
無垢の床材は簡単に言ってしまえば、木の1枚板です。
木材を乾燥させて、床材の形に切り出したものです。
木の持っている本来の特性をそのまま生かせるのが特徴です。
無垢の床材のメリット
◆木材の柔らかさ
無垢の床材は合板フローリングのような硬いコーティングが必要ないため、木材ならではの柔らかさをそのまま生かすことができます。
柔らかい無垢の床材は、キッチンでの立ち仕事も楽になりますし、家の中で動き回る小さいお子様にもぴったりです。
◆サラリとしている調湿効果
無垢材は湿気を吸収してくれるので、梅雨の時期や蒸し暑い夏でも床はサラリとしています。
素足で歩いても無垢の床ならベタつかず心地よく過ごせます。
無垢の床はサラリとしていてホコリも付着しづらく、カビやダニなどの発生を抑制することができるので、お子様も健康的に過ごせます。
◆床暖房いらずの温かさ
合板フローリングの場合、薄い板を接着剤で重ねているため、空気層が無く部屋と一緒に暖まることはほとんどありません。
冬場はエアコンやストーブで部屋を暖めても床は冷たく、スリッパか床暖房が必要になります。
その一方、無垢の床材の場合はエアコンやストーブで部屋の空気を暖めると、一緒に床も温かくなってくれるのです。
無垢の床材は1枚板なので木の繊維がそのまま残っており、その中に空気が含まれています。
その空気層が部屋と一緒に暖まるのです。
無垢の床材なら、床暖房は必要ありません。
部屋の空気と一緒に温まる無垢の床なら、冬もスリッパをはかずに過ごせますし、暖房効率も良いので省エネにもなります。
無垢の床材のデメリット
◆価格が高い
無垢の床材は合板フローリング材と比べると価格はやや高くなります。
無垢の床材を製造するためには、1枚板が切り出せるだけの品質の高い木材が必要となるためです。
合板用の材木と無垢材用の材木では、求められる品質が異なるのです。
初期投資は無垢材の方が高くはなりますが、暖房効率などを含めたランニングコストも考えると、トータルコストは決して高いとは言えません。
◆施工に技術が求められる
フローリング材がある程度の面積でパネルになっているのに対し、無垢の床材は1枚ずつ貼っていくしかありません。
大工さんが1枚ずつ加工しながら貼っていくため、技術も手間も必要になります。
丁寧な仕事のできる大工さんがいなければ、無垢の床材は施工できないのです。
◆ 傷がつきやすい
無垢の床材は柔らかく心地いいというメリットがある反面、柔らかい分だけ傷つきやすいという特徴もあります。
特に小さな子どもがいれば、元気よく遊んでいるうちに床には多くの傷がつくことでしょう。
わが家の床にもたくさんの傷がついています。
しかしながら、無垢材は1枚板なので傷がついても下の層が見えてしまうようなことがないので、傷が変に目立つことはありません。
傷も含めて家族の想い出ですし、その積み重ねが味になっていくのです。
さらに、無垢の床は年数を経るごとに色も変化していくので、傷は余計に目立たなくなっていきます。
無垢床材の注意点
ここまでで無垢の床材の魅力についてお話しさせていただきました。
無垢の床材の特徴をご理解いただけたでしょうか。
無垢の床材は本当にオススメなのですが、ひと口に「無垢の床材」と言っても、その品質にはばらつきがあります。
品質の悪い無垢の床材を使用してしまうと、暮らし始めてから不具合も出てきますので注意が必要です。
無垢の床材に関して注意すべきポイントをご案内いたします。
乾燥が不十分な無垢材は使わない
無垢の床材は湿気の吸収と放出を繰り返すというお話しをしましたが、これは適切に乾燥された木材であることが前提です。
もし木材の乾燥が不十分な状態で無垢材の床をつくってしまったらどうなるでしょうか。
床材は湿気を吸収するよりも放出する方が多くなり、結果として無垢の床材は乾燥が進行して痩せてしまいます。
床材が痩せてしまえば、当然ながら床に隙間ができてしまいます。
隙間ができれば引っ掛かりができたり、ホコリが入り込んだりと、ストレスのたまる床になってしまいます。
無垢の床材を選択する場合、木材の乾燥状態まで気をつけなければなりません。
節などの加工が丁寧なものを選ぶ
床は毎日歩きますので消耗しやすい部分です。
床材用に適切な処理がされていないと、無垢の床材でも不具合が発生する可能性があります。
例えば、節(ふし)の加工です。
無垢の床材は印刷の合板フローリングとは違い、節があります。
節の部分を加工せずにそのままの状態で使用すると、暮らし始めてから床の節が抜けてしまうことがあります。
その他にも、板のどの面を表にするかなど無垢材には注意すべき点がいくつかあります。
こういうお話をすると無垢の床材に不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、適切な加工さえしていれば、長く安心してご使用いただけます。
なかなか材料の見極めは難しいと思いますので、無垢材に詳しく信頼できる工務店に相談するのが大切です。
無垢材はメンテナンスが大変?
無垢の床というと、メンテナンスが大変そうというイメージをお持ちではないですか?
ハウスメーカーの営業担当者に「無垢の床は手間がかかるからやめた方がいい」と言われたという方もいらっしゃいます。
実際はというと、特別なメンテナンスはほとんど必要ありません。
無垢の床材の手入れの方法をいくつかご紹介していきます。
掃除
よく掃除について質問をされることがあります。
無垢材を拭くときは雑巾は乾拭きがいいですか?
無垢の床は掃除機を使っても大丈夫ですか?
などが代表的な質問です。
掃除に関して言えば、特別なことは何もありません。
掃除機も使っていただけます。お掃除ロボットを使用しても全く問題ありません。
雑巾も濡れ雑巾で大丈夫です。あまりにビショ濡れではシミになる可能性もありますが、普通の範囲で絞った雑巾であれば問題ありません。
シミ汚れ
水をこぼしたらシミになりますか?
という質問もよくいただきます。
こぼしたまま放置すればいずれシミにはなりますが、気付いた時に拭き取ればシミにはなりません。
ベースポイントでは、無垢の床に植物油からつくられた天然成分のワックスを染み込ませます。
油分がありますので、水をこぼしても弾いてくれます。
床材をコーティングしてしまう訳ではありませんので、無垢材の調湿性能もそのまま生かすことができます。
傷の補修
傷が付いた場合、どうやったら直せますか?
という質問も多くいただきます。
基本的には補修は必要ありません。
傷はあまり目立たないですし、傷も含めて無垢材の味わいです。
そうは言っても直したい傷もあるかもしれませんので、補修についてもご紹介しておきます。
【ささくれなどの引っ掛かりができた場合】
紙ヤスリで引っ掛からない程度まで削ってください。
深く削った場合、その部分にワックスを塗る方がよいでしょう。
【深くヘコミができてしまった場合】
大きなものを床に落としてヘコミができてしまった場合、スチームアイロンをかけると蒸気の力でヘコミが戻ります。
アイロンをかける際は床を焦がさぬよう濡れ雑巾を当ててください。
もし補修をするとしても、この程度で大丈夫です。
床の塗装
床のワックスは新築時に塗装しますので、それ以降はほとんど必要ありません。
もし塗るとしても、キッチンなどの水回りのみ部分塗装する程度で大丈夫です。
好みにもよりますが、3~5年に1度程度の塗装でも十分です。
全く塗らない方もいらっしゃるくらいです。
ワックスを塗る場合も、刷毛で床に塗りタオルで拭き取って完了ですので簡単です。
無垢の床材というと構えてしまう方も多いのですが、実際はほとんどメンテナンスの必要はありませんのでご安心ください。
まとめ
合板フローリングにも無垢の床材にもそれぞれのメリット・デメリットがあります。自分に合ったものを選んでください。
私たちは材料の安さや施工のしやすさよりも、快適で健康な暮らしを大切に考えているので、無垢の床材を採用しています。
心地よく暮らせて、子どもの体にも優しく、メンテナンスも簡単。
無垢の床材は本当にオススメです。
気になる方はベースポイント展示場でぜひ体感してみてください。