「夢のマイホーム」と言われるように、
やっぱり自分の家を持つのに憧れますよね。
結婚や出産などをきっかけに家づくりをスタートさせ、
住宅ローンなどのハードルもクリアしながら、
自分の家が完成したときの喜びは感動するほどです。
もしも、こうして建てた家が25年でダメになってしまったら
どうでしょうか?
35年ローンならまだ10年も残っています。
更にリフォームローンを組んで、
リフォームしなければならないのでしょうか…。
想像するだけでも怖い話です。
もっと恐ろしいのは、これが「よくある話」だということです。
「夢のマイホーム」で苦しむ人は少なくありません。
そうならないために、長持ちする家のつくり方についてお話しします。
日本の家の寿命は短い
欧米諸国と比較すると、日本の住宅は極端に
寿命が短いと言われています。
新築から解体までのサイクルが早いそうで、
25~30年程度という統計も出ています。
老後のことも考えて建てた家なのに、
住宅ローンが完済するかどうかという頃に
家に住めなくなっては意味がありません。
一方のヨーロッパでは住宅寿命は70年以上と言われています。
築数百年のアパートも未だに活用されているほどです。
なぜこれだけの差があるのでしょうか。
理由の一つに、家のつくり方の差があります。
日本の住宅は木造が基本です。
日本の家がダメになる場合は、
その多くが木材の腐りやシロアリ被害などによるものです。
一方、ヨーロッパで数百年も活用されている建物の多くは
石造りやレンガ造りの建物です。
腐る心配がほとんどない分、長持ちしやすいという側面もあります。
なぜ木造住宅なのか
石造りやレンガ造りのヨーロッパの家が長持ちしているのであれば、
なぜ日本では木造住宅が主流になったのでしょうか。
技術的に石やレンガでの建築が難しかったから?
いいえ、技術的には建築可能だったと思います。
日本でも立派な石垣は数多くありますし、
日本庭園に見られる石灯篭や墓石を見ても、
石の加工技術の高さがうかがえます。
陶器瓦も古くから使われており、
正確な造形や耐久性もある質の高い製品を
大量に生産する技術はありました。
それにもかかわらず、日本では木造住宅が主流となりました。
その理由は、日本独特の気候にあります。
ヨーロッパとは異なる日本の気候の最大の特徴は、
湿度の高さです。
湿度が高い環境で石の家を建てるとどうなるでしょうか。
例えば湿度の高い梅雨の時季、
壁や天井に結露が起き、ベタベタになるかもしれません。
この状態ではいずれカビだらけになります。
それでは快適に暮らすことはできません。
木材の特徴として、湿気を吸収することが挙げられます。
木材が湿気を吸収してくれることで、湿度の高い環境でも
快適に暮らすことができたのです。
より快適に暮らせる家を追求した結果、
日本では木造住宅が主流になったのです。
先ほど、日本の住宅寿命が短いとお話ししました。
日本人は、家の耐久性を捨てて快適さだけを求めた結果、
木造住宅を選択したのでしょうか。
そうではないのです。
本来、木造建築には十分な耐久性が備わっています。
事実、世界最古の木造建築である法隆寺は、
1400年を経た今も現存しています。
それに、築100年以上の古民家などは珍しくありません。
どうやら、日本の住宅寿命が短いのは、
木造建築だからという理由ではなく、
現代住宅に特有の問題のようです。
間違った高気密・高断熱
以前の木造建築と現代の住宅でなぜ耐久性が大きく違うのか。
それは、家のつくり方が変化したことにあります。
古民家や、昔ながらの造りの家に泊まったり暮らしたりした
経験はお持ちでしょうか。
経験のある方ならお分かりいただけると思うのですが、
窓や雨戸を閉め切っていても、隙間風が入ってくるのです。
特に冬は家の中まで冷たい風が吹き込みます。
囲炉裏やコタツの文化が広まったのも納得です。
暮らすには厄介者の隙間風ですが、
木造建築を長持ちさせる秘訣はこの「風」にあるのです。
木材は湿気を吸収して、快適に暮らせる空間をつくってくれます。
ところが、いつでも湿気を吸うだけでは、木材はいずれ腐ってしまいます。
湿気を含んだ木材はシロアリの好物でもあります。
このままでは家は長持ちしません。
そこで、家の中を風が通ることで木材に含まれた湿気が吐き出され、
木材がまた乾燥することができたのです。
現代住宅の寿命を短くなってしまった原因は、
この調湿作用のサイクルが止まってしまったことにあります。
現代の家では気密性が高まり隙間風はありません。
更に、壁の中には断熱材も入れられるようになり、
以前の家よりも暖かく暮らせるようになってきました。
多くのハウスメーカーや工務店は、
「高気密・高断熱の家」とアピールもしています。
高気密も高断熱も家づくりでは大切なことです。
しかし、だからといって耐久性が低くなって良いという
わけはないはずです。
最近は高気密・高断熱というフレーズだけが独り歩きして、
まるで魔法の言葉のように便利に使われています。
ハウスメーカーや工務店で家づくりについて質問しても、
「うちは高気密・高断熱だから大丈夫」
という程度の説明で片付けてしまいます。
これは非常に危険です。
正しい高気密・高断熱もあれば、
間違った高気密・高断熱もあるのです。
日本の住宅寿命を短くしている原因は、
間違った高気密・高断熱にあります。
木の家を長持ちさせるのは通気
それでは、間違った高気密・高断熱とはどういうものなのか。
それは、木材の通気を奪う気密と断熱です。
木材が湿気を放出するための通気を確保することこそが、
木造住宅の耐久性を左右する最大のポイントなのです。
ここで押さえておきたいのは、
通気と隙間風は全く違うということです。
通気と隙間風を混同して、
やみくもに気密と断熱を高める施工をした結果、
住宅寿命が短くなってしまったのです。
この間違いこそが、
軽く100年以上は耐久性のあるはずの木造住宅を、
25年程度の寿命にしてしまったのです。
私たちベースポイントの家は、
ハイレベルで高気密・高断熱を実現しています。
それと同時に、木材が湿気を放出できる通気も確保しています。
そうして、快適で長持ちの家をつくっているのです。
木材の特性を考えさえすれば、難しいことではありません。
自然の風を活用するだけで、家は長持ちするのですから。
昔から大工さんが知っているはずのことが、
なぜか今の住宅業界では無視されているのが現実です。
最新技術の追求はもちろん重要なことなのですが、
基本をおろそかにしてはいけません。
日本に家を建てるのであれば、日本の気候について
正しく理解しておくことが大前提のはずです。
快適で長持ちする家を建てるためには、
湿気と上手に付き合うことが必要です。
まとめ
日本の住宅は世界的に見ても極端に寿命が短くなっていますが、
その原因は日本特有の高い湿度にあります。
「高気密・高断熱だから大丈夫」と言って、
湿気対策を無視した家づくりが広がった結果です。
住宅の気密性を高めただけでは、湿気対策にはなりません。
しっかりと通気のことまで考えることで、
快適で長持ちする家をつくることができるのです。
ちなみに、私の言う「通気」の詳細については
また別の機会にご説明したいと思いますが、
いわゆる「24時間換気」とは全く別の物ですので、
混同されないようご注意ください。
はじめての家づくり講座では詳細な説明もしていますので、
ぜひこちらもお役立てください。
30年後も50年後も後悔しない家づくりをしましょう。