家は、多くの人にとって人生最大の買い物です。
2軒、3軒と家を建てられる方はそうはいないはずです。
「できるだけ安く家を建てたいけど、安すぎるのも不安」
「家っていくらで建てられるんだろう?」
「適正価格で家を建てたい」
こう考えている方は多いようです。
確かに、住宅の価格は様々です。
特に注文住宅の場合は仕様も間取りもバラバラで単純に比較することはできないですし、誰もが悩むポイントですよね。
そこで、今回は住宅の価格についてお話ししたいと思います。
住宅の適正価格
家を建てるとき、予算についてはどう考えますか?
住宅ローンの組める金額から考える人が多いと思います。
自分がどれだけの住宅ローンが組めるか分からないという方は、年収の記載された「源泉徴収票」を銀行のローン窓口に持参して相談をすれば、いくらまで住宅ローンが組めるかすぐに分かります。
マイホームをご検討の方は、できるだけ早い段階で銀行のローン窓口で相談されることをお勧めす。
さて、今回のお話はこの先です。
自分の予算が把握できたら、自分の予算に合う家を選ばなければなりません。
自分の予算に見合う「適正価格の家」をどうやって見極めますか?
ここが難しいのです。
住宅展示場を見に行けば数千万円という価格の家が並んでいますし、街角の看板を見れば「一戸建て住宅〇〇〇万円~」なんて価格表示もあります。
ひと口に家といっても、住宅の価格はピンからキリまであるのです。
住宅の価格は本当に幅広いのですが、それには理由があります。
価格差の理由の一つは、住宅の品質です。住宅価格と同様で、住宅の品質も幅広いのです。
一般的には高価格の住宅の方が、材料や設備などもグレードが高い傾向にはあるのですが、完全にそうとも言い切れないところが住宅の難しいところでもあります。
高価格の住宅だとしても、そのお金が家自体に使われているかは分からないからです。
例えば会社の広告宣伝費などに使われているだけかもしれません。もちろんどの会社も家を販売した利益から広告宣伝費を捻出するのですが、その割合の問題です。
せっかく良い家で暮らしたいと思って高価格の住宅を建てたとしても、その費用が家自体に使われていなければ、低価格の家と変わらない品質になってしまうこともあります。
住宅の適正価格とは、その家を建てた後の「暮らしの質」で決まるものだと思います。
しかしながら、実際に暮らすまでは品質が分かりづらいのが住宅の特徴でもあります。
住宅の価格が適正かどうかを判断するには、同レベルの性能・品質を持った家と比較するしかありません。
表面的な価格だけではなく、家の中身まで見て家を比較しましょう。
価格と性能・品質のバランスのとれた工務店と家づくりをするのが、家づくりで失敗しないための大切なポイントです。
坪単価のワナ
ここで一旦、「坪単価」についてお話ししておきたいと思います。
住宅の価格について考えるときに、最も間違えの原因となるのが坪単価ですので、坪単価を正しく理解するためのポイントを整理していきます。
一般的に、住宅の価格を比較しようとする際に坪単価で比較をすることがあります。
完成見学会などを開催すると少し住宅にお詳しい様子の方から、「坪単価はいくら?」と質問を受けることもあります。
住宅の価格を比較されているのだと思いますが、実はこの比較の仕方は、ちょっと危険です。
まったく間違っているわけではありませんが、坪単価ばかりに頼っていると痛い目を見るかもしれません。
そもそもの「坪単価」から解説していきたいと思います。
坪単価って何でしょうか?
坪単価とは、家の「本体価格」を家の坪数で割ったものです。
例えば、30坪で本体価格2,100万円の家があったとします。
この場合、
本体価格 2,100万円 ÷ 坪数 30坪 = 坪単価 70万円
という計算になります。非常に分かりやすいですね。
簡単な計算式なので、坪単価を聞けば家の価格が分かりそうな気がしますよね?
ここが危険なポイントなのです。
この危険なワナの正体は「本体価格」です。
さて、本体価格とは何でしょう?
そのままズバリ、家本体を建てる費用(本体工事費)です。
では、本体工事費には何の工事が含まれるのか確認していきます。
家本体ですので、屋外の工事については含みません。
駐車場や塀やフェンスなどのエクステリア関連は当然含みません。
更には、上下水道の屋外配管など、住宅に不可欠な工事も含まれていません。
あくまでも、「建物」本体の工事のみが本体価格に含まれます。
屋外の工事については本体工事ではないという点はご理解いただけると思います。
「屋外工事が入らないのは分かった。じゃあ屋内工事のことを本体価格と呼ぶんだね」と思われるかもしれませんが、そういう訳でもないのです。
屋内でも、照明機器やカーテン、場合によってはキッチンやカップボードなどの住宅設備も本体価格には含まれないケースもあります。
このように、住宅建設に必須の内容でも「本体価格」には含まれていないものも多くあります。
さらに厄介なのは、これらの費用が本体価格に含まれているケースもあるのです。
何十万、何百万単位のものが含まれていたり、含まれていなかったりします。
本体価格や坪単価に何を含めるかという明確な規則はありません。工務店ごとに定義を決めて運用しているに過ぎないものなのです。
坪単価は業界共通の単位のように見えますが、工務店ごとに定義が全く異なりますので、住宅価格の比較に使用するには向かない指標です。
坪単価で住宅価格を比較するということは、目的地までの電車料金を比較するのに、初乗り料金だけで比較しているようなものです。
坪単価や初乗り料金が参考になるケースもありますが、総額で考えたら逆の結果になることも珍しくありません。
工務店側もそれを利用して、坪単価だけ安く設定して住宅価格全体を安く見せようとしているケースも見られます。
住宅の価格を比較検討する際は、坪単価に惑わされずあくまでも家を建てて暮らすまでの総額を指標とするようにしてください。
ちなみに私たちベースポイントでは、お客様の資金計画に間違いがないように、坪単価に照明・カーテン・住宅設備も含めて算出しております。
住宅の価格は見えない部分で決まる
さて、住宅の適正価格について考えていきたいと思います。
住宅展示場やモデルハウスを見るとどれも素敵な建物ばかりですが、その中から自分好みの家を絞っていくことになります。
自分好みの家を絞り込んでいくと、2社とも好きな雰囲気で価格的にもどちらも予算に収まりそう、というケースがあると思います。
その時「どちらも自分好みの家なら、少しでも安い方がいいな。」と思われるかもしれませんが、少し待ってください。
雰囲気も価格も自分の条件に合うのかもしれませんが、どちらも同程度の品質の家なのでしょうか。
最初にもお伝えした通り、住宅の適正価格は「暮らしの質」で決まります。
同程度の価格帯の住宅だとしても暮らしの質に差があるのだとしたら、一方は適正価格で、もう一方は適正価格ではないということになります。
暮らしの質は住宅の性能に左右されます。
そして、耐震性、耐久性、断熱性などの住宅性能は、見えない部分で決まるのです。
見えない部分にどれだけの費用をかけているかで、住宅性能の差が表れます。
しかしながら住宅の場合、モデルハウスを見学しただけでは性能の差を見極めるのが難しい部分もあります。
一般的なモデルハウスの場合、お客様に印象良く見せるために「目に見える」部分の予算はあまり削りません。
キッチンやユニットバスなどの住宅設備も印象を良くするためのポイントで、実際には採用が難しい程のハイグレードのものが展示されていたりします。
その一方で、見た目では分からない部分でコストを削っている場合もあります。
モデルハウスは実際に暮らす家ではないので住宅性能が多少落としてあっても問題にはならないかもしれませんが、そんなモデルハウスをそのまま参考にして家づくりを始めて大丈夫なのでしょうか。
自分の満足できる暮らしを手に入れるためには、しっかりと各メーカーの担当者に「目に見えない」部分の性能について説明してもらうことが大切です。
住宅性能についての説明を理解するためには、住宅についての基本的なポイントを事前に押さえておくことも必要です。
ベースポイントで好評開催中の『はじめての家づくり講座』などを利用いただき、家づくりの基本を知っていただくこともオススメです。
家の見えない部分まで比較した上で、適正価格かどうか判断するようにしてください。
住宅性能の差はランニングコストに表れる
住宅性能を比較することも大切だというお話をさせていただくと、
「うちは予算にも限りがあるから、住宅性能まではあまりこだわっていられない。」
とお考えの方もいらっしゃいます。
お気持ちはよく分かるのですが、予算を重視した家づくりをしたいという方にこそ住宅性能を重視して欲しいのです。
住宅性能を後回しにして住宅の資金計画を考えている方は、「住宅ローン」にとらわれすぎているのです。
もちろん住宅ローンは毎月返済していくものですので、返済できる範囲で資金計画を立てることは不可欠です。
しかし、住宅ローンばかりに固執しすぎてしまうと、見逃しがちな重要ポイントがあります。
それは、住宅にかかわる毎月の支出は住宅ローンだけではない、ということです。
光熱費やメンテナンス費用だって、住宅に関わる支出なのです。
住宅にかかわる支出をトータルで考えて資金計画を立てる必要があります。
目先の住宅ローンばかりにとらわれていると、住宅ローンを月1万円削減するために住宅性能のランクを下げて、結果的に光熱費が月2万円も増加していまうというケースもあります。
この場合、トータルでは+1万円です。これでは本末転倒です。
本来目指すべきはこの逆です。
住宅性能にこだわった結果としてローン返済は月1万円増えるものの、毎月の光熱費が2万円安くなる。その結果、トータル-1万円です。
住宅に使える費用が潤沢にある方は性能を無視した家づくりをしてもいいかもしれませんが、普通は予算に合わせた家づくりがしたいですよね。
適正価格で住宅を手に入れたいと考える方は、住宅性能やランニングコストにも目を向けてトータルの予算を考えることをお勧めします。
住宅にかけられる予算はそれぞれに違うと思いますが、それぞれの予算に応じた適正価格の住宅を建てることが大切です。
費用的なメリットはもちろんですし、性能的にも納得できる住宅に住むということは、住まい手の「暮らしの質」の充実にもつながります。
人生の一大イベントである「家の購入」だけでなく、その後にずっと続く「家での暮らし」にも目を向けて、後悔のない家づくりをしましょう。
まとめ
住宅を適正価格で購入するためには、気を付けるべきポイントがあります。
住宅ローンの返済額や坪単価も大切ですが、資金計画で最も重要なのは住宅建設の金額とランニングコストを合わせた住宅関連費用の総額です。
ただ見えやすい数字を見ているだけでは、価格と品質の見合わない家を買ってしまうことになるかもしれません。
住宅建設の予算にこだわる方ほどランニングコストの高い家を建ててしまいがちなので、要注意です。
本当の意味で予算通りの住宅を建てたいのであれば、自分の予算だけにとらわれるのではなく、家自体の品質にも気を配ることが大切です。
家の見えない部分を確認するのには知識も手間も必要になるかも知れませんが、満足のいく家づくりをするためには欠かせません。
私たちベースポイントでは、適正価格の家づくりをして、楽しく、快適に暮らすためのお手伝いをしております。
家づくりを検討している方はお気軽にご相談ください。