家づくりをされる方の中には、子育て世代の方が多くいらっしゃいます。
マイホームを考え始めたきっかけをお伺いすると、
「子どもが生まれたのをきっかけに」
「子どもが小学校に上がる前に」
「子どもが成長してアパートが手狭になったので」
など、子育てを家づくりのきっかけとして挙げる方が多いです。
これは新築を検討される方の一般的な傾向だと思います。
しかし、完成した家は本当に子育てのための家になっているでしょうか?
家づくりで悩んでいるうちに、当初の目的を忘れてしまうことも珍しくありません。
子どもと大切な時間を過ごす家だから、しっかりと子どものことを考えた家づくりが大切です。
そこで、今回はベースポイントの考える「子育てと家」についてお話しします。
子育てに正解はない
子育てについてお話しする大前提としてお伝えしておきたいのは、
「子育てに正解はない。」ということです。
子どもは一人ひとり違いますし、正しい子育てというものは存在しません。
そもそも、自分の子どもにこうあって欲しいという理想や目標だって、
家族によってバラバラだと思うのです。
目指しているものが違えば、子育ても違うはずです。
雑誌やSNSで見かけたオシャレな他人の真似をしても仕方ありません。
自分達の子どもや家族の将来をしっかりと考えることが、全ての基本です。
家が子育てに与える影響
子どもが家で過ごす時間はそう長くないのかもしれません。
例えば、子どもが小学校に上がるのに合わせて新築した場合です。
小学校6年間、中学校3年間、高校3年間を家で過ごすとすると、
合計で12年間となります。
子どもが家を出た後も夫婦で暮らし続けることを考えると、
子どもと一緒に過ごす期間は、マイホームで暮らす期間のごく一部だと言えます。
子どもと一緒に過ごす時間が短いのは事実です。
けれど、家づくりで子どものことは重視しなくていいという訳ではありません。
大人の10年間と子どもの10年間では、重みや影響が違います。
長い人生のうちのたった10年間だとしても、
子どものその後の人生に与える影響は計り知れません。
子どもが家で過ごす時間は短いからこそ、家づくりを慎重に考えることが大切です。
子供部屋と家族のカタチ
子どもが家で過ごす期間以上に、
子供部屋を子供部屋として使う期間は短いかもしれません。
子どもが小さい頃は、リビングで遊んだり勉強をして、
夫婦の寝室で一緒に眠るということも多いはずです。
子供部屋が本当に活躍するのは思春期の数年かもしれません。
こうした前提の上で、子供部屋をどう位置付けるかは、
家族のカタチを考えることでもあります。
子どもの人数分だけ個室を用意するのか、兄弟で子供部屋を使用するのか。
玄関から子供部屋に向かう際にLDKを通過するリビング階段にするのか、
LDKを通らないように玄関ホールに階段を配置するのか。
こうした間取りだけでも、家族の関係性が変わってきます。
どちらが正しいという訳ではなく、家族の距離感を考えるということが大切です。
子どもの成長に合わせて間取りを変える
家族構成が確定していれば、ある程度間取りを作り込むこともできますが、
家を新築するときに家族構成が決まっているとは限りません。
子どもの人数だって不確定ですし、
これから生まれてくる子どもの性別もわかりません。
兄弟、姉妹、双子など組み合わせも様々です。
そんな時、使い方の幅を持たせた間取りにすることも可能です。
例えば最初は大きい部屋として使用し、
子どもの人数や成長に応じて仕切り壁を追加することもできます。
壁で仕切らずとも、本棚などでゆるやかに仕切るのもいいかもしれません。
成長に合わせて間取りを変える場合、
事前にある程度の想定をしておくことが大切です。
仕切った場合の出入口を確保したり、仕切りやすい構造にしておくなどです。
間取りを考えるということは、家族の将来を考えるということなのです。
子供部屋はムダになる?
子どもが家を出てしまえば、子供部屋はムダになるのでしょうか。
確かに子供部屋としては使用しなくなりますが、ムダではありません。
単に物置部屋にしてしまうのは少しもったいない気がしますが、
それも活用法としてはありでしょう。
趣味の部屋として使用するのもいいと思います。
子供部屋だからといって、ずっと子供部屋として使わなければいけない訳ではないのですから。
子どもが小さいうちはなかなか自分の趣味に時間を割くことが難しいですが、
子供部屋が空く頃はちょうど趣味の時間も取れるタイミングかもしれません。
私の家の子供部屋もいずれ空くことになるでしょう。
でもその後、孫を連れて泊まりに来て欲しいなという想いがあるので、
その際の寝室として利用したいと考えていたりもします。
まだ遠い将来のことですが、密かに楽しみにしています。
子どもの健康
子育てで大切なことは間取りだけではありません。
子どもの健康も重視する必要があります。
シックハウス症候群に代表されるように、
家が健康に与える影響は小さくないのです。
誰もが子どもには健康であって欲しいと考えていると思いますが、
子育てを大切に考えた結果、
逆に子どもの健康を害してしまうケースもあるのです。
子どもと家どちらを守る?
せっかく一戸建てに暮らすのだから、子どもには自由にのびのびと成長して欲しい、
と考えているご夫婦も多いと思います。
子どもは新築だからと言って、おとなしく丁寧に暮らしてくれるわけではありません。
おもちゃを投げたり、壁に落書きをすることもあるでしょう。
もし、傷がつかず、落書きもすぐに落とせる家にしようとすると、
硬くコーティングされたフローリング材やビニールの壁紙を選択するかもしれません。
それは、アトピーやぜんそくの一因となる物質を含んだ材料を使うということです。
家を傷つかないようにすると、子どもを傷つけることになりかねません。
子どもの健康をどうでもいい問題と思っている訳ではないはずです。
子どもを大切に思う気持ちが、逆に子どもを傷つける結果になることもあるのです。
家は子どもの成長の場
私は、家の表面的な傷よりも、子どもの健康を大切に考えています。
床の傷や壁の落書きも含めて、家の味わいになると思うのです。
落書きは簡単に落ちないということを学ぶのもいいかもしれません。
実際、私の家にも子どもの落書きがあります。
落書きされたときは少しショックもありましたが、
今となっては愛着すら湧いてくるから不思議です。
子どもが何をしても傷つかない家よりも、
子どもが学び、健やかに成長できる家づくりを目指しています。
まとめ
家は子育てに大きな影響を与えます。
間取り次第で、家族のカタチや距離感にも影響しますし、
家族の健康にもかかわる問題もあります。
子どもの成長や家族の変化も考えた家づくりをすることが大切です。
新築を検討するこの機会に、家族の将来を考えてみることをお勧めします。