せっかく家を建てるのなら、デザインも自分好みの家にしたいですよね?
家の中はもちろんのこと、外観デザインも大切です。
しかしながら、ここで気を付けたいのはデザインだけで外壁材を決めてはいけないということです。
今回は、外壁材を選ぶときに気を付けるポイントについて解説します。
代表的な外壁材の種類
外壁材も多種多様ですが、現在一般的に使われている代表的な外壁材について、ご紹介していきたいと思います。
窯業系サイディング
現在の住宅で最も一般的に採用されているのが窯業系(ようぎょうけい)サイディングです。
窯業系サイディングとは、セメントをベースに繊維を混ぜ込んで焼き上げた板状の外壁材です。
窯業系サイディングと聞いてもピンとこないかもしれませんが、新築住宅の7割以上で採用されています。
これだけ多く採用されているのには2つの理由があります。
1つはデザインの豊富さです。
レンガ調、石目調、木目調、塗り壁調などなどデザインの幅が広く種類が豊富で、
洋風、和風、モダン等どんな家でも作ることができるため、好みの家を建てることが可能です。
2つ目の理由は、初期コストの安さです。
外壁材そのものの価格であったり、短期間で施工ができることから、初期コストが最も安い外壁材だといえます。
特に外壁材の指定をしなければ、窯業サイディングが標準になっている工務店がほとんどだと思います。
金属サイディング(ガルバリウム鋼板)
最近人気上昇中なのが、金属サイディング(ガルバリウム鋼板)です。
モダンでカッコいいタイプの家でよく採用されています。
ガルバリウム鋼板とは、鋼板(鉄)を亜鉛・アルミ・シリコンでメッキ加工したものです。
トタンやブリキも鋼板をメッキ加工したものですが、その性能は全く異なります。
古い家や倉庫などで錆びているトタンの屋根や壁を見かけて、「ガルバリウム鋼板は大丈夫かな?」と
不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
ベースが同じ鋼板でも、メッキの種類によって寿命が大きく変わります。
ガルバリウム鋼板は錆に強く、40年以上の耐久性が期待できます。
沿岸部などの錆の心配のある地域でも、適時メンテナンスをすることで長くお使いいただけます。
塗り壁
昔からある外壁の代表が塗り壁です。
塗り壁といっても種類は様々で、和風、洋風、モダンと幅広いデザインの家で採用されています。
昔から一般的な壁材であるにもかかわらず、窯業系サイディングにポジションを奪われた理由は価格です。
現場で左官職人さんの作業が必要になるため、工事費は他の外壁材と比べて高めになります。
しかし、左官職人さんの手作業で塗られた壁は他の外壁材にはない味わいがあり、
施工費以上に高い価値があるのではないでしょうか。
外観デザインに高級感を求める方には塗り壁がお勧めです。
板張り(無垢材)
ナチュラル系の外観を作るのに採用されるのが無垢材の板張りです。
本物の木材の味わいがそのまま全面に出ますので、山小屋風の味わい深い外観になります。
外壁は風雨にさらされますので、環境に適した樹種の材木を使用することが大切です。
一般的には杉材(赤身)やヒノキ材が使われます。
板張りの外壁は昔から使用されているので、耐久性に関しても実績は十分ですが、
環境によっては板が傷んだり腐ったりする可能性もあります。
板張り外壁を長く持たせるためには、屋根の軒を長めに設計するなど、
板張りをなるべく濡らさず乾燥状態を維持するための工夫が必要になってきます。
アウトドア好きの方や周囲に木の多い立地の方にお勧めの外壁材です。
外壁は何を基準に選ぶ?
代表的な外壁材についてご紹介しましたが、どの外壁材を採用しますか?
デザインはそれぞれの良さがありますが、デザイン以外に比較するべき点があります。
それは、耐久性です。
家を長持ちさせるためには、外壁の耐久性を無視することはできません。
いくらデザインが良くても、20年で家が傷んでしまっては仕方ありません。
家は新築して終わりではなく、それからずっと暮らし続ける場所ですので、
長い目で見た耐久性やランニングコストが重要になってきます。
こういった視点で外壁材を比較した時、注意すべきは「窯業系サイディング」です。
窯業系サイディングを採用する場合の注意点
先ほどもご紹介した通り、窯業系サイディングはシェア7割以上の外壁材です。
採用されている理由の多くは、初期コストの安さにあります。
特に初期コストが重視される建売住宅の場合は、かなりの割合で窯業系サイディングが採用されています。
確かに魅力的な価格ですが、課題は耐久性とランニングコストにあります。
定期的な塗装工事が必須
窯業系サイディングのベースはセメントであり素材自体は吸水性があるのですが、
表面を塗装することで耐久性を確保する仕組みになっています。
この表面の塗膜を維持するためには、10年から15年程度で塗装工事が必要になります。
家全体を塗装する費用は100万円以上になりますので、40年、50年と住み続けることを考えると
塗装費用だけでも数百万単位の費用が発生します。
外壁材よりもシーリング材がネック
外壁材そのものよりもネックになるのが、外壁材の継ぎ目に入れるシーリング材(樹脂)です。
シーリング材の寿命は5年から10年と窯業系サイディングよりさらに短いとされています。
窯業系サイディングを採用した場合のトラブルは、外壁材自体が傷んだことよりも
シーリング材の劣化が原因となるケースがほとんどです。
窯業系サイディングの課題というよりも、シーリング材の課題といった方が良いかもしれません。
窯業系サイディングなら縦張りがオススメ
窯業系サイディングでも特殊な加工でシーリング材を使う部分がほとんどないタイプもあるので、
通常品よりは割高にはなりますがこういったタイプを選択するのも良いでしょう。
しかし、予算が厳しい場合でも窯業系サイディングの張り方を変えるだけで
耐久性を向上させる方法があります。
窯業系サイディングを横向きに張っていく場合、上下は実(さね)加工されているため外壁材同士が重なるのでシーリングは不要ですが、左右の継ぎ目はシーリングが必要になります。
縦に長い継ぎ目が入っている外壁を見かけたことがあるのではないでしょうか。
外壁材のデザインを切り替えることでこの継ぎ目を目立たなくしているケースも多くありますが、
継ぎ目にシーリングがしてあることには変わりありません。
ところが、窯業系サイディングを縦に張るだけでもシーリングの量は大きく減らすことができるのです。
縦に張る場合、左右の継ぎ手は実加工になり、上下の継ぎ目がちょうど1階と2階に境目に来るのですが、この継ぎ目にシーリングではなく劣化の心配のない水切り金物を使用できるようになります。
つまり、シーリングの量がかなり少なくなり、メンテナンスの心配が軽減されます。
窯業系サイディングを採用する場合は張る方向についても検討してみてください。
オススメの外壁材
耐久性という観点で考えると、窯業系サイディングよりも、金属サイディング・塗り壁・板張りの3種がお勧めです。
それぞれの概要は先ほどもご紹介しましたが、メリット・デメリットについて簡単に整理しておきます。
この中から好みの外壁材を検討してみてはいかがでしょうか。
金属サイディング
デザイン:モダンでカッコいい家にオススメ。
メリット:錆びない限り使用できる耐久性。初期費用はそこまで高くない。
デメリット:表面温度が高くなる。物をぶつけるとへこみやすい。
塗り壁
デザイン:和洋問わず使用でき、高級感がある仕上がり。
メリット:仕上げパターンが豊富で幅が広い。シーリングが不要で耐久性が高い。
デメリット:左官職人による手作業のため費用が高い。施工方法によってはひび割れの恐れがある。
板張り(無垢材)
デザイン:味わい深いナチュラル系で山小屋風の外観に。
メリット:個性的な外観で、経年変化を楽しめる。
デメリット:環境により腐る可能性あり。軒など設計段階から工夫が必要。
まとめ
外壁材は家の耐久性を大きく左右するポイントです。
デザインはもちろん大切ですが、耐久性能まで考えて検討することをお勧めします。
タイプによって初期コストは違いますが、長く暮らすことを考えるとランニングコストを重視して選択した方がお得な外壁材だといえます。
大きな買い物だからこそ、目先の金額だけでなく長い目で見た家づくりを心がけましょう。