子どもの頃に行った遠足や社会科見学のこと、みなさんは覚えていますか?
私はあまり覚えてないんです…。
遠足は楽しみにしていたんですが、授業がないし、おやつが食べられるし、といったモチベーション。
残っている記憶もバスで移動しながらおやつを食べて映画を見て…といった感じです。
大人になってから振り返ってみると結構面白そうな所に行っていた気がしますが、当時はどう感じていたんでしょうかね。

先日わが家の娘が社会科見学に行ってきましたが、訪れた科学館について楽しそうにお話ししてくれました。
自分とは違い正しく社会科見学を楽しんでいるようで、安心しつつ尊敬してしまいました。
私ではなく妻に似たのかもしれません。

先日、私も社会科見学ということで茨城の建築仲間たちと大阪へ出張してきました。
私もさすがに大人になりましたので移動や雑談ばかりに夢中にならず、しっかり学んできました。
一部抜粋ですがご紹介させていただきます。
やはり社会科見学といえば感想文までがセットですからね。

マーベックス社 快適住宅研究館

まず最初に訪れたのは今回の出張のメインの目的でもあったマーベックス社「快適住宅研究館」

ベースポイントではマーベックス社の熱交換型換気システム「澄家」を採用しています。
澄家は排気のみダクト式で給気はダクトレスというのが特徴でメンテナンス性や熱交換性能という観点から選びました。

今回見学した「快適住宅研究館」というのは、空調に関する実験のための施設です。
澄家による換気とエアコンによる冷暖房を組み合わせて、どのような住環境になるかを計測しながら実験を重ねています。
あくまで実験施設なので、快適なモデルハウスとは違います。
むしろ常に様々なケースを想定して実験が行われているので、快適ではない状態の方が多いそうです。

今回お邪魔した時は床下エアコンと階間エアコンの両方で冷房を稼働させていました。
一般的には床下エアコンは暖房専用で冷房には使用しません。
その理由は、エアコンから吹き出された直後の低温の空気が床下に溜まると結露を引き起こすためです。
ではなぜ今回は床下エアコンを冷房稼働させていたのかというと、床下から室内に空気を送るファンと組み合わせていたためです。
冷気が床下に溜まらないようファンによって送風量を管理していました。
これであれば結露を抑えることもできるかもしれません。

実際に体感してみてどうかというと、床が少し冷たく感じました。
やはり床下にエアコンから直接冷気を吹き込んでますので、どうしても床が冷えてしまいます。
室内の空気が涼しいと快適ですが、冷えた床に触れるのはやや不快感がありますね。
ファンで結露しないレベルには空気を動かせているようですが、個人差もあると思いますが足の感覚としては少し課題があるようです。
ただ、去年も訪問しているメンバーによると去年の方がもっと床が冷たく感じたそうです。
実際のデータを比較しなければわかりませんが、試行錯誤を重ねながら改善しているのかもしれません。

ベースポイントとしては床下エアコンは暖房専用として設計しています。
床下結露のリスクを減らせますし、送風ファンも不要で、暖房の際は足元の床から温められるためです。
しかし、今回見させていただいたような実験や試行錯誤の先にはもっと快適な家づくりがあるかもしれません。
住宅地というリアルな環境に実験用の建物を建てているだけでも凄いですが、さらにサッシや断熱材までリフォームして様々な実験を続けているマーベックス社の姿勢は素晴らしいですね。
私も現在の仕様に満足せずに新しい情報を学び続けたいと思います。

ユニソン社 玄と素

次に訪れたのはユニソン社「玄と素」

ユニソン社はお庭や駐車場など家の外構工事で活躍するエクステリア製品のメーカーさんです。
コンクリート製品を中心にポストなど幅広いエクステリア製品を取り扱っています。
本社は愛知県にあり、その縁でジブリパークのインターロッキング(舗装用ブロック)も手掛けたそうです。

今回訪問したのは大阪事業所と併設の「玄と素」というスペース。
「玄と素」と書いて「くろとしろ」と読むそうです。
元は玄人と素人から来ていて、プロもエンドユーザーも垣根を越えて交流できるコミュニティスペースとしてつくられたそうです。

こちらの建物は有名建築家の竹原義二さんによるもので、素材の組み合わせや見せ方など様々な工夫が盛り込まれていました。
エクステリアメーカーの施設ですので製品のショールーム的な仕上がりになりそうなものですが、まったく違いました。
既製品をそのまま使っている部分はあまりありません。
オリジナルの組み合わせで新しい雰囲気にしたり、あえて製品の裏面を表にして使用したりと、素材を活かすことが考えつくされていました。

エクステリアメーカーとしては複雑な思いもあったかもしれませんが(笑)、エクステリア製品の可能性を感じました。
家づくりは建物だけでなくお庭など外構もセットで考えるべきだと思いますが、やはり予算は建物が中心になってしまうということもありエクステリアは後回しになってしまいがちです。
エクステリア製品の組み合わせや使い方を工夫することで、予算を抑えながらも暮らしを豊かにする外構ができると感じられました。
ベースポイントの家に合う、ベースポイントらしい外構を目指してアイデアを練りたいと思います。

野澤工務店 SHOW HOME

最後にお伺いしたのは野澤工務店さん。
野澤工務店さんのモデルハウスとしてお客様もご案内しているという常務のご自宅へお邪魔しました。

野澤工務店さんは3世代にわたる大工工務店さんで歴史も長いのですがそれに甘えずアップデートをし続けていて、特に若い世代の専務・常務が中心となって高性能で地球にやさしい家づくりに取り組んでいます。
ブランド名の「AGING WELL」は素敵に歳を重ねるという意味で名付けられたそう。
ベースポイントのコンセプトの1つである「経年美化を楽しむ」という考えと近く共感する部分が多々ありました。

そして、大工さんを目指す子どもたちがもっと増えるように大工がカッコイイ仕事だということを伝えたいというお話も。
確かに昔よりも大工さんに憧れる子どもたちは減っていると感じます。
大量生産大量消費の事業構造では、効率化だけが求められ大工の技を発揮する必要のない建物ばかりになってしまいますので当然の流れかもしれません。
一軒一軒を美しく丁寧につくり上げる建物の場合は大工の技が必要不可欠です。
ベースポイントの家も大工さんの技なしでは到底建てることはできません。
大工さんの技や現場での姿を伝えることができれば、きっと大工さんに憧れる子どもたちも増えると思います。
少なくとも私は憧れてしまうくらい尊敬しています。

大工さんに限らず、仕事を楽しんでいる大人を見ればきっと子どもたちも憧れを持つのではないでしょうか。
私は大工さんではありませんが、工務店に憧れる子どもたちが増えるよう私自身も楽しく仕事をしていきたいと思います。

まとめ

今回ご紹介した他にも、インテリア素材やDIYツールを製作・販売している友安製作所さんへお邪魔したり、安藤忠雄氏が設計した司馬遼太郎記念館へ立ち寄ったりと盛りだくさんの一泊二日でした。
工務店のおじさんが大阪出張というと普通は観光旅行を想像するかもしれませんが、観光どころかお土産を買う時間もない程に建築漬けの2日間でした。
今回企画してくださった丸川木材さんをはじめ、お忙しい中ご協力いただいた方々には感謝でいっぱいです。
本当にありがとうございました。
今回得た学びやきっかけをしっかりと家づくりに活かしていきたいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!
茨城県で注文住宅を建てるベースポイントの代表者
坪野 隼太

設計から現場監督まで家づくり全般を担当してます。

趣味はファミリーキャンプとパン作り。

最近はプロバスケ「茨城ロボッツ」のにわかファン。