高性能マンション視察

いつもは戸建ての高性能木造住宅について書かせていただいていますが、今回は少し違う建物のお話を。
先日視察してきたのは、集合住宅タイプの高性能木造住宅です。
今回は埼玉県東松山市の(株)夢・建築工房さんが手掛けた高性能木造マンションにお邪魔してきました。

ちなみに、東武東上線の高坂駅近くの物件だったのですが、この高坂駅は私の実家の最寄り駅。
高校・大学、そして社会人になりたての2年間はここから通学・通勤していました。
そんなわけで懐かしさも感じつつ、駅周辺の開発に驚きつつ、久しぶりに街をぶらぶらしながら目的地へ向かいました。
案内図を頼りに歩いていくと一目で高性能賃貸だとわかる建物が現れました。

外壁が板張り仕上げの3階建てマンション。
その右側の建物は、以前建てた戸建てタイプの賃貸とのこと。
この一角だけは明らかに心地いい雰囲気が漂っていました。
室内が快適であることはもちろん大切ですが、こうした外観の建物があると街並みも豊かに感じられます。
建物の一つ一つが街並みをつくっていくという当たり前のことに改めて気づかされました。

賃貸とは思えない豊かな空間

外観がとても素晴らしいですが、室内も当然素晴らしい空間です。

この空間が賃貸だなんて信じられませんよね。
無垢材の床が張ってあるアパートはほとんど無いと思います。
しかも、断熱性能も最高等級の7という仕様です。
見学した日がちょうど気温の高い日だったの断熱性能を体感するには不向きだったのですが、真冬の寒い日でもきっと温かいお部屋だと思います。

2LDKの間取りでしたが、エアコン1台で空気が巡るよう工夫がされていました。
また、注文住宅と異なりどんな方が暮らすかわからないので、お手入れが最小限で済むような設備で実現されていました。
賃貸住宅でこのレベルで暮らせるのは本当に貴重だと思います。

集合住宅ならではの課題

見学会では(株)夢・建築工房の岸野社長が自らご案内してくださいました。

戸建て住宅と同レベルの高性能住宅ですが、集合住宅ならではの課題もあるそうです。

その一つが防音の問題です。
戸建て住宅であれば2階の足音を感じてもそこまで気になりませんが、集合住宅では違います。

音というのは空気を振動させることで伝わっていきます。
防音するということはその振動を止めるということです。
振動を止めるためのポイントは「重さ」です。

例えば、壁が重ければ隣の部屋の音の振動は伝わりづらくなります。
床が重ければ下の階に音の振動が伝わりづらくなります。

建物として考えると、鉄筋コンクリート造の建物は非常に重いので防音という点では有利です。
あまり防音のことを考えなくても、鉄筋コンクリート造というだけである程度の防音性能が期待できます。
一方、木造建築は鉄筋コンクリート造と比べて非常に軽いので、防音面では工夫が必要になります。

今回、岸野社長が過去の経験から蓄積したノウハウについても教えていただきました。
材料や施工に至るまで包み隠さず共有いただき非常に勉強になりましたし、今までのご苦労もよくわかりました。
戸建て住宅と比較すると、考えられない程の防音工事を施工されています。
本当に細部まで気をつけて設計・施工をしないと音は伝わってしまうというようです。

戸建てと集合住宅は建物のサイズが違うだけでなく様々な面で違いがあり、まだまだ学ぶべき所が多いです。

良い建物、良い暮らしのために

「高性能賃貸」というジャンルはまだ一般的に広がっているとは言えない状況です。
しかし、これからは戸建てはもちろんのこと賃貸物件も快適性能・環境性能に優れた建物を建てるべきだと思います。

大手ハウスメーカー数多くの賃貸住宅を建てていますが、今回見学した物件のような高性能住宅はありません。
工務店の手掛ける高性能賃貸よりも大手ハウスメーカーの物件の方が「高額にもかかわらず」です。
高性能賃貸を広げていくのは難しいのでしょうか?

注文住宅においては住まい手さんの住宅性能への関心が高まりつつありますが、賃貸物件の場合は性能についての関心は高まっていないようです。
賃貸の利用者さんだけでなく賃貸物件のオーナーさんも同様で、性能まで気にされる方はほとんどいないそうです。

そんな状況の中で夢・建築工房さんは高性能賃貸の物件を広めていらっしゃいます。
どのようにして性能への関心を持ったオーナーさんと出会っているのか疑問に思いました。
その疑問への答えは、予想を超える物でした。

「オーナーさんの性能への関心の有無にかかわらず、つくり手の責任として高性能を標準にしている」

オーナーさんは断熱等級7や耐震等級3(いずれも最高等級)と言われてもわからないかもしれない。
住まい手さんも「高性能賃貸だから」という理由で暮らすわけでもない。
それでも良い建物を建てて心地よく暮らしていただくことを目指すのが工務店の責任だと岸野社長は言います。

高性能な省エネ住宅の啓蒙活動は大切ですが、それと同時に今できることに取り組む姿勢に決意を感じました。

ベースポイントの目指すもの

ベースポイントでは戸建ての高性能木造住宅を建てています。
環境に優しい省エネ住宅を建てることが、子どものため、地球のため、未来のためになると考えているからです。
環境に優しい高性能住宅で暮らすことは決して贅沢なことではありません。

ただ、良い家を建てるためには費用の問題は避けられません。
一生に一度の大きな買い物です。

では、こんなケースはどうするのか。

転勤が多くて1ヵ所に定住するのが難しい人は心地よい家には暮らせない?
住宅ローンを組むのが難しい人は心地よい家には暮らせない?
その他、高性能住宅の新築が難しいケースはどうしたらいい?

環境に優しい高性能住宅で暮らすことは、未来への責任であると考えています。
だからこそ、誰もが高性能住宅に暮らせる環境をつくることが大切です。
その環境をつくるためには様々な選択肢を用意する必要があります。
高性能住宅を新築するという選択肢以外に、高性能住宅の中古物件に暮らす、高性能賃貸に暮らす、という選択肢を整えなければなりません。

高性能住宅の新築についてはベースポイントが正に取り組んでいる部分です。

中古物件については、そのまま暮らせるような高性能住宅の中古物件というのは現在の日本にはほとんどない状態です。
骨組みの状態まで解体して全面リノベーション工事をしないと快適な家にはなりません。
ベースポイントでは全面リノベーション工事にも対応しています。
リノベーションと並行して、50年後にそのまま暮らせるような高性能な家を新築することが将来的な「高性能中古住宅」という選択肢に繋がると考えて取り組んでいます。

そして、高性能賃貸という選択肢。
今までは戸建て住宅の施工のみで、集合住宅については実績はありません。
今回学んだように集合住宅ならではの課題もありますのですぐには難しいかもしれませんが、将来的にはベースポイントでも高性能賃貸の建築に取り組んでいきたいと考えています。
いつチャレンジできる出会いがあるかわかりませんので、その時のために勉強を続け準備したいと思います。

よりよい暮らしを実現できる環境をつくる。
そのためにできることを積み重ねていきます。

貴重な機会をご用意いただきました(株)夢・建築工房 岸野社長ならびに関係者の皆様、ありがとうございました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!
茨城県で注文住宅を建てるベースポイントの代表者
坪野 隼太

設計から現場監督まで家づくり全般を担当してます。

趣味はファミリーキャンプとパン作り。

最近はプロバスケ「茨城ロボッツ」のにわかファン。