最近、注文住宅のための土地についてのご相談、ご質問をいただくことが多くなってきました。
もちろん、注文住宅を建てるために「土地」は必ず必要になります。
土地を持っていないという方は、必ず土地探しをしなくてはなりません。
しかしながら、多くの人は土地の選び方を知らないまま、土地探しをしている状態です。
中には、決め手のないまま何年も土地探しを続けているという方もいらっしゃいます。
そして残念なことに、土地選びで失敗してしまったという人も少なくありません。
では、何に気を付けて土地選びをしたらいいのでしょうか?
以前に注文住宅の正しい建て方についてはご紹介しましたので、今回は注文住宅のための土地選びについてお話ししていきます。
土地の価値
多くの場合、注文住宅を建てようと決意し、土地探しを始めます。
まずは不動産屋さんへ行って、土地の相談をすることでしょう。
その時に不動産屋さんに伝える条件の定番は「予算」と「駅までのアクセス」です。
この条件を伝えるだけで、不動産屋さんは何カ所も紹介してくれて、現地も丁寧に案内してくれます。
そして、
「ここは良い土地ですよ」
とお勧めしてくれます。
こうして土地購入を決意するという流れが多いようです。
これも正しい土地探しではあるのですが、「注文住宅のための土地探し」としては正しいとは限りません。
なぜでしょうか。
不動産屋さんの勧める「良い土地」とは何なのか考えてみてください。
希望予算に合うことかもしれません。
駅へのアクセスがよいことかもしれません。
近くにスーパーや学校があるのかもしれません。
南側が道路に面していることかもしれません。
どれも良い条件ではあるのですが、どれも家づくりに直結する条件ではありません。
不動産屋さんの言う「良い土地」というのは、一般的には「資産価値の高い土地」ということを意味します。
しかし、注文住宅を建てるために土地を探すのであれば、「家づくり」を念頭に置いて土地選びをしなければなりません。
あなたが欲しいのは「資産価値の高い土地」ではなく「家族と幸せに暮らすこと」であり、そのために土地を探して注文住宅を建てるのです。
漠然と「良い土地」選びに悩むのではなく、目的を明確にして土地選びをすることが大切です。
土地選びのタイミングと予算
土地がなければ、注文住宅を建てることはできません。
だからといって、土地探しを焦る必要はありません。
土地探しをする前に、まずは家づくりの計画を整理することをお勧めします。
自分達が暮らしたい家についてある程度具体的に考えていくと、注文住宅のおおよその予算が見えてきます。
住宅ローンなどから算出した総予算から注文住宅の予算を差し引いた金額が、土地の購入に充てられる予算です。
というのも、実は注文住宅の価格よりも土地の価格の方が調整しやすいのです。
例えば、注文住宅の予算から100万円を削減するとします。
予算削減のためには、家のサイズを小さくする必要があるかもしれません。
断熱材を安いタイプに変更する必要があるかもしれません。
こだわりのキッチンも諦める必要があるかもしれません。
これで仮に100万円削減を達成できたとしても、求めていた暮らしからは程遠い家になってしまうかもしれません。
一方、土地の予算から100万円を削減する場合はどうでしょうか。
地域にもよりますが、徒歩で5分程移動するだけで、土地の価格は大きく変わります。
もちろん周辺環境や利便性は大切ですが、暮らしには大きな影響がない範囲で移動するだけでも、土地の価格は抑えることができるのです。
最終的に「土地の予算」と「注文住宅の予算」のどちらを削減するのかはみなさんの判断です。
ただ、焦って土地購入を決定した後では、注文住宅の予算を削減するしかありません。
先に家づくりの計画も進めておけば、天秤にかけて判断することも可能です。
土地選びに焦りは禁物です。
家づくりをしっかり計画してから土地を選びましょう。
地盤の傾向と地盤調査のワナ
土地選びについて話すときよく話題に上がるのが地盤調査についてです。
注文住宅を新築する場合、地盤調査が必要になります。
家の配置が決まったら地盤調査を実施します。
調査の結果、地盤の強度に不安がある場合は地盤改良工事を実施することになります。
地盤は地域によって様々ではありますが、私が経験した茨城県のケースでは、昔からの宅地、以前畑や山林などだった土地では、地盤に問題のないケースがほとんどです。
逆に地盤改良が必要になったケースは、沼地や田んぼなどを埋め立てた土地です。
どんな土地でも地盤改良工事をすれば安全な家を建築することはできますが、やはり地盤改良には費用を要します。
これから土地を選ぶのであれば、そこが宅地になる以前はどんな土地だったのかについて確認するようにしてください。
それだけでも地盤の強度が推測できます。
また、ハウスメーカーによっては、
「地盤調査無料キャンペーン中なので調査してみませんか?
地盤調査だけしてウチで建てなくても大丈夫なのでお勧めですよ」
なんていう営業もあるそうです。
こうして地盤調査を依頼すると、地盤改良が必要と判定される場合が多いです。
そして、地盤改良工事などを勧めながら、注文住宅の契約までするという手法のようです。
注文住宅の新築だけよりも地盤工事もした方がハウスメーカーは儲かります。
それに、「地盤調査の結果、改良が必要な土地だと判定されました」と言われれば不安も手伝って、そのハウスメーカーを頼って家づくりを進めてしまうこともあるでしょう。
地盤調査はとても大切な調査ですが、このように営業手法として利用されることもありますので、注意が必要です。
土地の日当たりを考える
注文住宅を建てるための土地を探している人に、どんな土地を探しているのかを尋ねると、
「日当たりのいい土地」
という答えがかなりの確率で返ってきます。
もちろん、どんよりと暗い家よりも日当たりのいい明るい家の方がいいですしね。
そして、日当たりにこだわりのある方が求めるのが「南東角地」です。
南東角地は人気もあるので、「資産価値」も高いため同じ区画内でもより高い価格設定がされています。
同様の理由からマンションでも南東角部屋は他の方角の部屋よりも人気があり、高い価格設定となっています。
確かに南東向きは日当たりが良いのですが、そこに家を建てれば快適に暮らせるのかというと、またそれは別なのです。
太陽は東から昇り、南を通り、西へ沈みます。
一般的に、南東の太陽は好かれていて、西の太陽は嫌われているようです。
南東は日当たり良好と評価される一方、西向きは西日がきついと敬遠されがちです。
この問題は、方角だけではなく季節も合わせて考えることが必要です。
南東の日差しが主に活躍するのは夏です。
朝早くから太陽が照り付け、夕方遅くまで太陽は沈みません。
夏は意外と西日の時間帯は長くありません。
これとは逆に冬に活躍するのは西日です。
冬の間は昼を過ぎた頃から長い西日の時間になります。
こうした日差しと季節を考えるとどうでしょうか。
暑い夏に南東の日差しを積極的に取り入れる必要がありますか?
寒い冬に西日を取り入れて部屋を暖かくしたくありませんか?
もうおわかりですよね。
大切なのは「資産価値」よりも「快適な暮らし」です。
快適に暮らせる日当たりを考えましょう。
敷地環境に合わせた設計
良い土地を選んだからと言って、良い家になるとは限りません。
「南道路の日当たりのいい場所がいい」
「リビングの南側には開放的な大きな窓が欲しい」
「手入れに手間がかかるから庭木は植えないシンプルな外構にする」
どれもよくある要望ですが、このまま組み合わせるとどうなるでしょうか。
想像してみてください。
日当たりのいいリビングには大きな窓があります。
窓の外は庭木のないシンプルな庭が広がっています。
そして、庭の先には道路があります。
部屋から道路がよく見えると、心理的には覗かれている気分になります。
覗かれていると思うと落ち着かず、レースのカーテンを閉めることになります。
せっかく日当たりのいい大きな窓が、カーテンで閉ざされたままになります。
理想の土地に、理想の家を建てたのに、理想通りには暮らせない。
少し街を歩けば、カーテンで閉ざされた南窓の多さに気が付くはずです。
土地だけ、建物だけ、で考えるのではなく、土地と建物の両面から計画していくことが重要なポイントです。
組み合わせ次第では、理想的な土地も理想的な家も台無しになってしまいます。
より良い土地選びのために
私たちベースポイントでは土地の取り扱いはしておりませんが、土地選びのお手伝いやアドバイスはさせていただいています。
もちろん投資目的の土地購入アドバイスではなく、注文住宅のための土地選びをお勧めしています。
私たちは土地の販売で利益を得ることを目的としていませんので、「売りたい土地」をお勧めすることもありません。
みなさんの求める暮らし、建てたい家に最適な土地選びのお手伝いができるよう心掛けています。
注文住宅のために土地探しをされる方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
土地選びは目的や条件を明確にすることが大切です。
土地探しの深みにはまると、長期化し、予算も膨らんでいきがちです。
土地を探すのは注文住宅を建てるためなのですから、理想の家に合う土地を探さなければなりません。
投資目的ではなく、理想の暮らしのための土地だということを意識するだけで、土地探しの条件が明確になり土地選びがスムースに進みます。
土地選びも家づくりの一部です。
家づくり全体のプランをよく考えてから土地選びをされることをお勧めします。