家づくりをする中で、
最もワクワクして、
最も悩ましくて、
最も後悔しがちなもの。
それは、『間取り』ではないでしょうか。
断熱材や耐震構造の話とは違って、
間取りは目に見える部分です。
目に見えるだけに、誰でもイメージしやすいため、
住まい手の要望が反映されやすい部分でもあります。
しかし、要望が反映されれば良い間取りになるかというと、
必ずしもそうとは限りません。
住まい手自身が暮らしやすい間取りを要望しているはずなのに、
結果的にベストとは言い難い間取りに落ち着いてしまうケースが
多く見られます。
家に住み始めてから
「やっぱり違う間取りにしておけば…」
と思っても後の祭りです。
多くの人が理想の間取りを考えているにもかかわらず、
間取りプランに失敗してしまうのはなぜでしょうか。
それは、理想の間取りをイメージするうえで、
余計なフィルターを通して考えてしまうことに
原因があるかもしれません。
今回は、間取りのプランニングの際に陥りやすい、
3つの要注意ポイントについてご紹介します。
「慣れ」を重視しすぎる
注文住宅の場合、建売住宅とは違って間取りも自由になります。
自由とは言っても、まったくゼロから間取りを考えるのは
簡単なことではありません。
はじめての家づくりなのですから、当然です。
そんな中、暮らしやすい間取りを考えようとすると、
多くの人が「慣れ」に頼ります。
自分が育った実家の間取りや、
現在住んでいる賃貸アパートの間取りを
基本に考えようとするのです。
実家やアパートを参考にすれば、
確かに間取りプランはイメージしやすくなります。
暮らしたことのある家の間取りを参考にするのは、
イメージをつくるにはいい方法かもしれません。
しかし、それが本当に良い間取りかは、別問題です。
生まれ育った実家も、
住み慣れたアパートも、
あなたの暮らしに合わせて
つくられたものではないのです。
実家があなたのご両親が建てた家であれば、
ご両親の暮らしに合わせた間取りになっているはずです。
賃貸アパートであれば、限られたスペースに効率よく
部屋が配置できるよう設計されているはずです。
決してあなたやあなたの家族のために
設計されているわけではないのです。
長く暮らしていれば慣れや愛着もあると思いますが、
その間取りがベストだとは限りません。
注文住宅の利点は、
あなたの暮らしに合わせた
家づくりができることにあります。
ついつい慣れた実家やアパートの間取りが
落ち着くように感じてしまいがちですが、
他にも選択肢があるということを意識してください。
あなたの暮らしにもっと合う間取りが
きっと見つかるはずです。
「憧れの間取り」を追いかける
何かを調べようとすると、
ウェブサイトやSNSや雑誌などを
見ることが多いのではないでしょうか。
それは間取りのプランニングでも同じです。
実家やアパート以外の家を見ようとすると、
スマホや雑誌を眺めることになります。
そして、少し調べれば素敵なお家の写真が
数多く見つかることでしょう。
満足できる家づくりをしようと
寝る間も惜しんで家の写真を見ていると、
「こんな間取りにしたい」という
想いを持つかもしれません。
楽しく家づくりをするためには、
下調べも必要ですし、憧れも大切だと思います。
しかし、憧れだけを追求してはいけません。
それは、先ほどもお話しした通り、
その憧れの家はあなたのためにつくられた家ではないからです。
ライフスタイルが異なるかもしれませんし、
建築する土地の立地条件も異なるはずです。
ライフスタイルや環境を無視した家づくりをすれば、
暮らし始めてすぐに後悔することになります。
憧れや理想を持つことは大切ですが、
それに縛られることなく、
自分の暮らしに合わせた形にアレンジしていく必要があります。
あくまでも主役はあなたです。
家は決して主役ではありません。
憧れに縛られて、家に合わせて暮らしても窮屈なだけです。
あなたが、あなたらしく暮らせる家をつくりましょう。
スマホをいくら眺めてもあなたの暮らしは見えません。
あなたの暮らしや家族のこれからについて考えることが、
後悔しない間取りプランのための大原則です。
「固定観念」に固執する
建築にはルールがあります。
耐震性能などを備えるために、構造的な決まり事があるのです。
そのルール内であれば、あとは自由です。
間取りも自由に設計することができます。
ここで障害になるのが、間取りについての固定観念です。
間取りを自由に決めていいと言われても、
「家はこうでなくては」
という思い込みがあると、選択の幅が狭くなります。
例えば「和室の客間が欲しい」というケース。
客間と言えば和室。
確かに和室の客間が多いかもしれませんが、
洋室の客間だってつくることはできます。
更に言えば、客間は本当に必要でしょうか。
来客の頻度や、客人との関係性によっては
そもそも客間自体が必要ないかもしれません。
間取りは、それぞれのライフスタイルによって変わります。
絶対の決まりはないのです。
もしも家で一切食事をしないのであれば、キッチンだって不要かもしれません。
もちろん、奇抜すぎる家は長く暮らすには不向きだと思います。
しかしながら、あまり固定観念にこだわりすぎていると、
一番大切なあなたや家族の暮らしが見えなくなってしまいます。
家の形ばかりにとらわれることなく、
あなたと家族の暮らしを見つめることが
間取りプランの最大のポイントです。
まとめ
間取りプランや家づくりの目的は、
あなたや家族が心地よく楽しく暮らすことにあります。
「慣れ」だけを頼りすぎたり、
「憧れ」を追求しすぎたり、
「思い込み」にこだわりすぎていると、
本当に心地よい間取りにはなりません。
間取りは、土地の環境と、住まい手のライフスタイルで決まります。
家の形ではなく、家族の暮らしを考えることからはじめましょう。