ベースポイントは高性能で地球にやさしい家づくりを目指しています。
高性能なだけ、地球にやさしいだけでなく、その両方を追求することが大切です。
性能と環境を追求した結果、ベースポイントでは茨城県産の無垢材をメインで使用しています。
今回は私たちが茨城県産材を採用している理由についてご紹介します。
国産材と輸入材
まずは一般的に流通している木材についてです。
木材の産地に着目してみると、国産の木材も海外から輸入した木材もどちらも多く流通しています。
なんとなく国産の方に良いイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、実際はそう簡単でもないのです。
一口に木材と言っても、木の種類(樹種)によって特性やコストがバラバラなので一括りにはできません。
国産材・輸入材どちらにも、良い材料もあればそうでないものもあります。
木材の優劣とは別の視点から国産材と輸入材を比較してみます。
国産材
杉材や桧材などの針葉樹の材木が多く流通しています。
もちろん国産の広葉樹も流通していますが、割合は少な目です。
輸入材と比べると、輸送に必要なコストやエネルギーを抑えることができます。
ただ、輸送費を加味しても安価な輸入材と比べて価格が高い場合も多いです。
輸入材
世界中から針葉樹も広葉樹も含め多様な樹種の材木が輸入されています。
国産材にはない樹種もありますので、床材など仕上げ材の選択肢は広がります。
輸入材は船便で輸送されますので、輸送に関するコストとエネルギー消費が多くなります。
日本全体の状況としては、以前はコスト面から輸入材の割合が高くなっていましたが、最近では輸入材の高騰から国産材の需要が上昇傾向にあります。
ただ、日本の林業・製材所が既存の設備体制のままでは増産は難しい状況です。
コロナ禍のウッドショックで輸入材が確保できなくなった時には、急激な国産材の需要増に対応しきれず木材不足が深刻になりました。
世界経済の動向が輸入材だけでなく国産材にも影響していることを実感しました。
どんな木材を使えばいいのか?
国産材か輸入材か。
それぞれにメリット・デメリットがありますので正解はありません。
つくり手や住まい手ごとにそれぞれの考え方があると思います。
「どれを使用するか」よりも大切なことは、「どんな意志を持って選ぶか」という点だと思います。
コスト面だけを見て木材を選んでいると、先のウッドショックのような木材不足などが発生したときに対応が困難になります。
目先のコストに振り回されていては高品質の家づくりを持続することはできません。
目指すべき未来へ向けた意思を持って木材を選ぶ必要があります。
ベースポイントでは以前から品質にこだわった木材選びをしてきました。
しかし以前は木材の産地よりも品質を重視していたため、ウッドショックの影響も大きく受けることになりました。
そして、それまで日本の林業・製材工場を守る努力が不足していたことを反省しました。
さらに地球環境の問題も先送りできない状況なっていることから、木材選びについても見直しました。
地域の山を守る
地球環境を守るためにベースポイントがやるべきことを考えました。
私たちにできることは小さなことかもしれませんが、動かなければなりません。
地域工務店として貢献できるのが「地域の山を守ること」だと思います。
見守るだけでは足りない
二酸化炭素濃度の上昇による地球温暖化。
光合成による二酸化炭素吸収のために森林が重要であるのは皆さんご存じかと思います。
しかし、ただ森林があれば良いという訳ではありません。
山をそのまま放置しているだけでは足りないのです。
木は光合成をし続けますが、その活動量は樹齢により変化します。
樹齢50年~60年程度までは木の成長期にあたるため光合成も活発な状態ですが、樹齢60年を過ぎると活動量は減少します。
つまり、山を放置すれば樹齢60年以上の木ばかりになり、二酸化炭素の吸収量は減っていきます。
ただ山を見守るだけでは、地球環境を守ることにはならないのです。
森林のライフサイクル
光合成の活動が落ち着く樹齢50年~60年を迎えた成熟した木は木材として品質が良い状態となります。
この樹齢50年以上の木を伐採して木材として活用するとともに次世代の木を植林することで、山が若々しく活発な状態を維持できます。
ただ山を見守るだけでなく、積極的に維持してあげることが必要です。
ベースポイントが直接林業を手掛けるわけではありませんが、茨城県産材の材木を地域工務店として消費していくことが地域の山を守ることになります。
地域の林業・製材工場と手を組んで山を守っていきます。
こうした循環を地域内で実現することにより、輸送のコストや環境負荷も最小限にすることができます。
そして、地域の山と林業・製材工場を守ること、それが高品質な家づくりを持続することにもつながります。
高品質な木材
地域の山を守る取り組みについてご紹介しましたが、木材においては品質という観点も重要です。
地球にやさしい高品質の材料で高性能な家を建て、その家を長く住み継ぐことが環境負荷を最小限に抑える方法です。
自然素材といえど品質にはこだわりが必要です。
八溝の桧材
私たちがメインで使用しているのは八溝山地の桧材です。
八溝山地とは茨城県・栃木県・福島県にまたがる木材産地です。
八溝では桧材と杉材が中心です。
特に八溝の桧材は「北限の桧」とも言われており、高品質だと定評があります。
木は寒い地域だと成長が遅くなりますが、その分だけ目の詰まった良い木材になります。
桧は八溝山地あたりが北限とされていて、桧がギリギリ育つ厳しい環境だと言えます。
良い材料が手に入るのも地域の自然のおかげです。
この状況も地球温暖化に歯止めがかからなければ変わっていってしまうかもしれません。
八溝山地が桧の北限ではなくなってしまうかもしれません。
そうなる前に、できることから始めています。
地域の山を守りながら、高品質な八溝桧材で高性能な家を建てるというサイクルが私たちの第一歩です。
無垢材へのこだわり
八溝の高品質な桧材を私たちは無垢材のまま使用します。
一般的には無垢材よりも集成材が主流です。
集成材とは数cmの厚みにカットされた板(ラミナ)を接着剤で貼り合わせて柱などに使う角材にしたものです。
無垢材はそのままの自然素材のため一本一本の品質はバラバラですが、集成材は工業製品ですので強度など建材としての品質が担保されています。
この点が集成材が主流となっている一つの要因です。
私たちが無垢材にこだわるのには理由があります。
木材を集成材として接着剤を使用して加工するよりも、無垢材としてそのまま利用した方が環境負荷が抑えられます。
さらに、建築後も無垢材の耐久性は長い歴史の中で証明されており、接着剤の耐久性よりも信頼できると考えているためです。
環境と品質を考えて無垢材にこだわっています。
含水率と強度測定
木はもともと大量の水分を含んでいて、その水分含有量を「含水率」といいます。
木材として使用する場合はしっかり乾燥させて含水率を低くしてから使用するのですが、木材は含水率が下がるほど強度が上がっていくという特徴を持っています。
逆に乾燥しきっていない木材は強度が低く、反りや割れなど変形する恐れがあります。
含水率は木材にとって欠かせない指標なのですが、一般に流通している木材のほとんどが含水率の測定や強度の測定がされていません。
何も測定されず品質が管理されていない状態ですので、工業製品であり品質の担保された集成材が主流になるのも頷けます。
私たちは、集成材のメリットであり無垢材のデメリットでもある木材1本1本の品質についても対応しています。
無垢材は自然素材であるため、その強度を操作することはもちろんできません。
しかし、強度を測定することはできますし、そこから選別することは可能です。
私たちは、高品質な八溝の桧材を1本ずつ含水率と強度を測定し、基準値を超えたものだけを使用します。
そして、選び抜かれた高品質な材料を適正な価格で購入することで地域の林業・製材工場へ還元しています。
お金も時間も手間もかかりますし決して簡単なやり方ではないかもしれませんが、地球の未来を考えるともう選択の余地はありません。
ベースポイントが使用する木材
ベースポイントで採用している木材について整理させていただきます。
[土台・柱]
八溝桧材
[横架材]
輸入のベイマツ材
※梁(はり)などの横向きに使用する材料は松などの曲げに強い材料が適しているのですが、国内ではこのサイズの松材はなく輸入材を使用しています。将来的には国産材化も考えています。
[床材]
八溝の桧材および一部杉材
[造作材など]
八溝の桧および杉材を中心に、デザインによりその他の樹種も使用
まとめ
木材には国産材・輸入材をはじめとして様々な種類があります。
どの木材が良い・悪いではなく、未来のために意思を持って選ぶことが大切です。
ベースポイントでは地球環境や子どもたちの未来を考えて、地域の山やそれに携わる人たちと協力することで持続可能なサイクルをつくろうと取り組んでいます。
環境を守るために高品質な材料で高性能な家をつくるというサイクル。
小さな一歩かもしれませんが今から積み重ねなければ未来は変えられません。
家族の家を建てるという大きな機会に、子どもたちの未来についても想いを馳せてみてください。
<プロフィール>
ベースポイント株式会社 代表取締役
営業、設計、現場管理など家づくり全般とWEB、SNS等を担当しています。
家づくりのことなら何でもご相談ください。