子どもたちの夏休みが始まりました。
最近の夏は危険な暑さになるので外での活動が難しい面もありますが、夏らしい思い出をたくさん残せたらいいなと考えています。
そして、それと同じくらい今年こそ宿題がスムーズに終わるといいなとも思っています(笑)
私が夏休みの宿題で特に苦手だったのが読書感想文。
まず小学生の頃の私は全く読書をしない子どもだったので、急に本を読んでも文字を追うだけで内容が一切頭に入らずといった感じでした。
そして作文も大の苦手。
学校でイベントごとに書かされる感想文や作文が本当に苦痛でした。
その後も本を読まないまま成長しましたが、高校を卒業するころになって急に本を読み出しました。
暇な時間があったのでなんとなく小説を手に取ったのですが、読みだしたら面白くて一気に読了。
それをきっかけに読書にハマって通学中や時間のある時は小説を読むスタイルに。
最近では仕事も車移動になりめっきり読書量は減りましたし、読む本も仕事関係ばかりになりました。
でもこうして拙いながらも文章を書いたりできるようになったのは、本を読み漁った日々のおかげです。
小学生の自分からは想像がつきませんが、何かのきっかけで変化するものですね。
子どもたちにとって何かきっかけのようなものと出会う夏休みになったらいいなと思います。
先日、ゴミ問題やリサイクルについてあらためて考えるきっかけがありました。
今回きっかけとなったのは建築業界ではなくファッション業界です。
廃棄衣料のゴミ問題
建築業界はゴミが多いのですが、ファッション業界も状況は同じでした。
最近は特にファストファッションの流行からもわかるように、大量生産大量消費が進行しています。
環境省のデータによると不要になった衣料やそもそも売れずに在庫となっていた衣料が年間50万トン近く処分されています。
廃棄衣料のリサイクルはまだまだ少なく、ほとんどが燃やすか埋め立てるかで処分されている状況です。
特に海外に持ち出された廃棄衣料は適切な処理もされずただただゴミの山として放置されているケースも多くあります。
日本人が着た服はキレイだから海外でもニーズがあるという話もありますがそれはあくまで一部で、活用するには廃棄衣料があまりにも多すぎるため処分せざるを得ません。
私たちは目にすることはありませんが、私たちの捨てた衣料が私たちの目の届かない海外で環境を破壊しているのです。
廃棄衣料でつくる空間
先日、一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー(CCF)の代表理事である渡邊智惠子さんのご自宅にお邪魔させていただきました。
渡邊さんは1990年にオーガニックコットンを初めて日本に持ってきた方です。
当時から環境への関心が高く、地球環境を守るためにオーガニックコットンの普及に長年取り組まれてきました。
近年ではオーガニックコットンが世間一般に広く認知されてきましたがそれで満足せず、さらに環境問題への取り組みを進めています。
そこで立ち上げたのがCCFで、オーガニックコットンに限らず様々な繊維ゴミのリサイクルに取り組んでいます。
今回は廃棄衣料のリサイクルを目指す取り組みの中で、渡邊さんのご自宅マンションをリフォームされたということでお伺いしてきました。
リフォームはどうしてもゴミが出るのですが、解体を最小規模に抑えることで一般的なリフォーム工事の1/3程度のゴミの量に抑えられたそうです。
そして廃棄衣料をリサイクルした素材も建材として活用されています。
この写真の壁には、廃棄衣料からつくられた仕上げ材が張られています。
オシャレなグレーなのですが着色している訳ではなく洋服だった様々な繊維を混ぜることでグレーになるそうです。
だから原料となる廃棄衣料によっても色味が少し変わるため完全に同じものはありません。
環境問題への取り組みはもちろん、建材としての質感も気に入ったのでぜひ採用してみたいと思っています。
衣食住とゴミ
写真の壁材の他にも繊維からつくられた和紙を壁紙にしたり、ゴミを再生する取り組みに溢れた家でした。
これだけのことを実践するためには手間も費用もかかっただろうと思います。
建築にかかわらず一般製品においても通常製品よりリサイクル製品の方が高くなるケースも多いと聞きます。
しかし、コストだけで選択していてはいつまでも大量生産大量消費の状態のままで、大量のゴミが生まれ続けるだけです。
もうすでにゴミは溢れていて猶予はありません。
衣食住は人の暮らしの基本です。
当然ゴミも衣食住の割合が高く、衣料のゴミ・フードロス・建築ゴミ、この3つでゴミの大半を占めます。
人が暮らせばどうしてもゴミは出ます。
だからといって大量にいくらでもゴミを出していいという訳ではありません。
まず一番大切なのは捨てるゴミをなるべく少なくすること。
廃棄などの無駄がなくなっていくことは、企業にとっても個人にとっても経済的メリットもあるはずです。
今すぐにでもゴミを減らす取り組みを始めなければなりません。
そして次に再利用やリサイクル。
衣料品の再利用やリサイクルの動きは以前より増えてきていますし、建築業界でも廃材の再利用やリサイクルの取り組みが進んできています。
しかし、まだまだ足りていないのも確かなので、取り組みを強化していく必要があります。
建築でゴミを減らす
廃棄衣料リサイクルについてお話をお伺いし、建築の可能性も感じることができました。
建築廃材を次の建築に活用するケースは増えてきていますが、今回の例のように廃棄衣料が建材になるのはイメージしていませんでした。
今までのイメージは「衣→衣」「住→住」といったように衣食住のジャンルを跨がないリサイクルが中心でした。
「衣→住」というサイクルもあると考えると、ゴミ活用の幅が広がります。
今回の件とは別ですが、マヨネーズ工場で大量に出る卵の殻を使用して壁紙や塗材にしたエッグウォールという製品もありますので「食→住」というサイクルも実現可能です。
こうして考えると建築というのは衣食住のゴミの受け皿になりうるポテンシャルがあるのではないでしょうか。
ベースポイントでは今までもリサイクル材を積極的に採用していましたが、もっと広い視野が必要ですね。
建築系の廃材や木質系の廃材だけでなく、衣食住の全てのゴミに可能性があります。
私たち一人ひとりにできること、ベースポイントにできることは小さなことかもしれませんが、しっかり意識をもって動き出さないといけません。
問題を嘆くだけでなく未来を少しでも良くできるよう取り組みます。
渡邊さん、CCFのみなさん、縁をつないでくださった篠崎さん、ありがとうございました。
設計から現場監督まで家づくり全般を担当してます。
趣味はファミリーキャンプとパン作り。
最近はプロバスケ「茨城ロボッツ」のにわかファン。