先日、木構造マイスター準1級更新講座を受講してきました。
講師はM’s構造設計の佐藤 実先生。
木造住宅の基本的な構造について特に耐震という面から解説していただきました。
佐藤先生は能登半島地震の被災地にも3回にわたり調査に行かれているそうです。
実際に被災地で撮影してきた写真も見せていただきました。
Googleマップの震災前の画像との比較という形でしたが、まったく別の景色になっていました。
家は1階部分が潰れたり、2階部分が崩れたり、全体が倒壊したり。
倒壊した家によって道路も塞がれていて、建物だけでなく街全体が大きな被害を受けていました。
震災の被害の大きさと家の耐震性能の重要性をあらためて実感することができました。
能登半島地震の被害全容はまだわかりませんが、2016年熊本地震の調査結果についてのお話もありました。
2000年に改定された現在の建築基準法の最低基準である耐震等級1の建物と、最高等級である耐震等級3の建物を比較したデータがあります。
現行基準で耐震等級1の建物が319棟でした。
そのうち7棟(2.2%)が倒壊し、12棟(3.8%)が大破したそうです。
耐震等級3の建物は16棟だけでしたが、そのうち14棟は無傷、2棟は軽微な損傷。
耐震等級3の家では、倒壊、大破、中程度の損傷はありませんでした。
この数字を見て、どう考えるのかが大切です。
耐震等級1の建物で倒壊・大破は6%。
逆に言えば、94%の建物は倒壊・大破しませんでした。
9割以上の家が大破しなかったからいい?
もちろん違います。
19棟に暮らしていたご家族の暮らしは、震災で大きく変わったしまったはずです。
これは、家を建てる私たち工務店の責任だと考えなければなりません。
もしこの19棟が耐震等級3だったら、暮らしを守ることができた可能性があります。
震災でこれだけの調査結果が出ていても、耐震等級3で新築される建物はわずかです。
それは、耐震等級3よりも耐震等級1の方が制約が少なく間取りが自由に作りやすく、価格も安いからです。
つまり、ハウスメーカー・工務店が作りやすく売りやすい家を建てているからです。
住まい手さんはもちろん地震に強い安心できる家で暮らしたいはずですし、そういう前提で家を建てていると思います。
だからこそ私たち工務店が耐震性能を考えた家づくりをしなければなりません。
震災はいつどこに来るかはわかりません。
だからこそ数十年後の未来の暮らしを守るために、耐震等級3の家をつくっていきたいと思います。
今回学んだ内容を今後の設計にも反映させてよりよい家づくりを目指します。
耐震等級3の家が「普通の家」になるようベースポイントにできることを積み重ねていきます。
設計から現場監督まで家づくり全般を担当してます。
趣味はファミリーキャンプとパン作り。
最近はプロバスケ「茨城ロボッツ」のにわかファン。